2014/06/10

先日より先行予約を開始しましたBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDですが、既存製品のULTIMATEとVERSATILEとの違いを説明します。
まず成分的にはベースオイルの一部が異なります。既存製品のULTIMATEとVERSATILEは100%化学合成のコンプレックスエステルのみを使用していますが、今回のBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDはいずれも100%化学合成となるコンプレックスエステルとポリオールエステルの2種類のエステル系ベースオイルを使用しています。そもそもコンプレックスエステルとは複合したエステルオイルなのですが、それにあえてポリオールを混合している理由は動粘度を下げる事が出来るからです。ポリオールエステルを混合し粘度を下げる事によって油膜をより薄くする事が出来ます。
油膜が薄いとネガティブな要素に思えますが、BOREDのオイルは基本的に自転車に必要な最大荷重を対象としています。もちろんそれよりも遥かにオーバースペックなのですが、最低限人力である自転車を対象としている上では回転や潤滑の妨げになる高粘度なオイルは必要ありません。その油膜自体が切れなければ、油膜は薄い方が回転や潤滑の抵抗にならず良いと言う理屈です。逆に言えば油膜が非常に強いので厚みを薄くする事が出来ると言う事です。
更に何度も説明していますが、上記化学合成ベースオイルは分子構造に極性を持っています。その為に金属に対しオイル分子がプラスとマイナスの作用により吸着します。鉱物油ではその特性自体が存在しないので油膜は非常に弱い物となってしまいます。
更に化学合成オイルは摩擦係数が鉱物油とは比較にならない程低く、単純に言えば摩擦抵抗の少ない潤滑効果の高いオイルとなります。
今回のBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDは前モデルよりも若干ながら低粘度化していますが、その理由は上記からとなります。
そして重要な役割を果たす添加剤についても、前モデルは硫黄系の極圧剤を使用していましたが、今回は特殊極圧剤と有機モリブデンを使用しています。有機モリブデンは二硫化モリブデンとは異なり固形添加剤ではありません。比較的種類の多い定番極圧剤なのでアメリカ製の最高品質の物を使用しています。これら極圧添加剤の作用により過度な衝撃や荷重などから金属表面を保護し、先に述べた化学合成の性質と相乗して油膜切れの起こりにくい圧力や摩擦に強いオイルとなる訳です。
具体的な感覚での粘度ですがULTIMATEよりも重くVERSATILEよりも少し軽い粘度になります。これは原液使用する上で物理的な粘度として一番使い易いオールマイティな粘度を想定して決定しました。自転車で言えばどの部分に使用しても回転や潤滑の抵抗にならない最大公約数的な粘度です。
そして特筆すべき希釈ですが、これは前モデルでもSOLVENTと言う溶剤を使用して希釈を行なっていました。今回は既存のRUSH COATを使用して同じく希釈が出来ます。あくまでも感覚ですが、RUSH COATは溶剤を含む為に超低粘度なので、その浸透性能を利用し隅々まで油膜を行き渡らせる事が出来ます。そして注油後はゆっくりと溶剤成分のみが完全揮発するので、後に残るのはBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDの成分のみとなる訳です。後に残ったBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDは希釈された事により非常に薄い油膜となって存在します。一瞬油膜が無い様に思えるかもしれませんが、指で触れば油っぽさや指先が滑る感覚で確認出来るはずです。なのでこの状態で使用しても焼き付きを起こす心配はありません。シールされたベアリングに使用する用途や極限まで油膜の粘度を減らしたレース使用のチェーンやギアなどでにおいて非常に有効な方法となります。
現に某大手メーカーはオイルを溶剤で希釈した物を先日発売したばかりですが、BOREDはもう数年前にこの方法を思いつき実現していました。
さて、BORED既存のULTIMATEとVERSATILEはBOREDの通常ラインナップ中で過去最強のオイルです。そして今回のBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDはこの2種を上回る性能となります。ただし、性能が極端過ぎる事と材料の影響で価格が高価になってしまう事から数量限定としました。
使い別けとしては、日常の通勤通学時をはじめ、舗装路で通常使用する際のメンテナンスはULTIMATEとVERSATILEで、そしてレースやコンテスト、極度のマッドシーンや梅雨のウェットシーン、真夏の高温下や高湿度下などはBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDの方が許容範囲が高くなります。そして季節で言えば春、秋、冬はULTIMATEとVERSATILEで、夏はBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDでと使い別けると有効かもしれません。
ちなみにBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDとULTIMATE及びVERSATILEは混ざったとしても問題はありませんが、出来れば使用前にパーツクリーナーなどで洗浄し各々の油膜をバージンとして使用した方がベストです。
早くも大変多くのご注文をいただいています。引き続きBORED STOREよりご注文お待ちしています。